ルイの影響を受けていないトランペット奏者はいない。
マイルス・デイビス
今回は伝説的なトランペッター、ルイ・アームストロング (Louis Armstrong)について紹介します。
彼はジャズの創世記から活躍してきた、いわばジャズの始祖のようなミュージシャンです。
今回、彼の生い立ちから代表曲、興味深いエピソード、ギタープレイに落とし込むことができる要素がないかまで分析します。
ジャズプレイヤーなら知っておきたいルイについて、この記事で掴んでもらえると幸いです。
生い立ちと経歴
ルイ・アームストロングは、1901年8月4日にアメリカ ルイジアナ州ニューオリンズの貧しい地域で産まれました。
裕福な家庭ではなかったので、幼い頃から新聞配りや炭鉱などの労働をして、8歳には歌を歌ってお金を稼いでいました。
ルイ・アームストロングは歌手としても素晴らしいですが、幼い頃から鍛えていたんですね!
トランペットを吹くようになったきっかけは特殊で、彼が11歳の頃、お祭りの祝砲としてピストルを発泡したことをきっかけに少年院へ入れられてしまい、その少年院のブラスバンドに入った流れでコルネットという楽器を吹くことになり、それが楽器との初めての出会いとなりました。少年院から出た後は地域のパレードなどで演奏技術を磨き、16歳でプロミュージシャンになりました。
1923年には活動拠点をシカゴへ移し、そこで自身のバンドを組み有名になっていきます。
1930年にはヨーロッパツアーを敢行し、第二次世界大戦中には慰問公演も行います。当時、黒人差別がまだまだ強く白人と同じ空間に居られないなど活動の妨げが多々ありました。
1964年には「ハロードリー!」の売り上げがビートルズを抜き、1967年には今でも有名な「この素晴らしき世界」(What A Wonderful World)が世界的に大ヒットしました。
本人のエンターテイナーぶりも認められ、俳優として映画にも出演を果たしています。
1971年7月6日、ニューヨーク州クイーンズ区の自宅で亡くなりました。死因は心筋梗塞とされています。
生涯で離婚を3度経験し、最後の妻は歌手のルシール・ウィルソンでした。
貧しいながらも幼い頃から音楽に触れて、生涯音楽を愛し続けた人生だったようです。
音楽の特徴と代表曲
ルイ・アームストロングは親しみやすいキャラクターと高い音楽的技術をあわせ持ったカリスマ的な存在でオリジナリティ溢れる唯一無二な演奏者でした。
まだ洗練されていなかったダンスミュージックを当時ポピュラーであったジャズへ発展させたことが大きな功績になりました。
ルイ・アームストロングは歌手としても非常に優れていることで有名です。
私個人的には、歌手の側面の方が印象深いですね。
特徴的な「渋いダミ声」で歌います。優しく語りかけてくるように歌うので、聴いていると気持ちがリラックスしてくるのがとても心地よいです。
代表的な曲は以下などがあります。
What A Wonderful World(この素晴らしき世界)
CMで使われることが多いので一度は耳にしたことがあるはずです。
Hello, Dolly! (ハロー・ドリー!)
この曲ではトランペットをよく吹いてます。
何度も聴取からアンコールされてますね!
シンプルな歌心で楽器を奏でることの大切さを学べます。
When The Saints Go Marching In
ジュエル・ブラウンという歌手とデュオで歌っています。
彼女の快活な雰囲気とルイ・アームストロングの仲良さそうな雰囲気が楽しい気分にしてくれます!
On The Sunny Side Of The Street
La Vie En Rose (バラ色の人生)
ルイ・アームストロングがジャズに与えた影響
ルイ・アームストロングがジャズに与えた影響は計り知れません。
ニューオーリンズジャズの歴史が始まったのが1910年と言われており、ルイ・アームストロングがプロミュージシャンとしてシカゴへ移住したのが1923年なので、ジャズが発祥した頃から活躍しているジャズの始祖のような存在であると言えます。
故にトランペットの吹き回しを聴いても、スケールアウトが少ない、ジャズの基本となっている音使いが多くなっています。
きっとルイ・アームストロングの影響を受けていないジャズマンを探す方が難しいでしょう。
かの有名なマイルス・デイビスは、ルイ・アームストロングについて
ルイの影響を受けていないトランペット奏者はいない。彼のやることはすべて正しい。彼がいなかったら俺は何もできなかったと思うよ。
マイルス・デイビス
ギターへの応用
ルイ・アームストロングの演奏をギターへ落とし込もうと思うと
- 音数を減らして弾きすぎない
- ブレスを入れるように演奏に間を入れる
- スケールアウトを減らしてゆったり聴かせるような音使いをする
- トリルを使ってトランペット風な音を出してみる
この辺りが大切になってくる気がします。
演奏を聴いているとやはりジャズ創世記のアーティストということもあり、スタンダードな音使いをしつつ、何より聴かせることに集中している印象を受けました。
以下のようなフレーズを耳コピしました。
CM7のフレーズ
CM7のフレーズ
ジャズを勉強し始めた頃によく聴くようなフレーズです。
妙にアドリブしまくり、アウトしまくりな演奏をせずに聴取を気持ちよくするために演奏する。そのような姿勢がとても勉強になりますね。
興味深いエピソード
ルイ・アームストロングのような魅力的なミュージシャンには面白く興味深いエピソードがつきものです。
数あるエピソードの中で面白いと思ったものを紹介します。
「サッチモ」という愛称の由来
ルイ・アームストロングには「サッチモ」という愛称があります。
この由来には諸説ありますが、どうやら、ルイ自身の大きな口が愛称の元になっているようです。
「Satchel Mouth」を聞き間違えた記者が「サッチモ」と呼んだり、エラ・フィッツジェラルドがルイの大きな口を見て「Such a mouth」と呼んでいたことから生まれたという説があります。
「スキャット」はルイ・アームストロングが発明した!?
「スキャット」はルイ・アームストロングを始めとするミュージシャンが発明したと言われています。
スキャットは、歌詞のない音楽を歌う方法を指し、現在でも歌詞だけでなく、楽器のように声を使ってアドリブを加える技法として広く活用されています。
このスタイルが誕生した経緯にはいくつかの説がありますが、一つの説によれば、歌詞を忘れてしまったルイ・アームストロングが、その場で適当に音楽を口ずさみ、それが素晴らしい演奏となったことから始まったと言われています。
ルイが残した遺産と語り継がれる理由
ルイ・アームストロングは1900年代初期から活躍したミュージシャンですが、ルイの曲は未だによく聴かれ、演奏されています。
なぜこんなにも愛されているのでしょうか?
ルイ・アームストロングの遺産が語り継がれる理由としては
- ジャズの創世記に活躍し、ジャズを発展させたミュージシャンであること
- 渋いダミ声とシンプルなトランペットで聴衆を魅了したこと
- 親しみやすいキャラクターで聴衆に愛され、ジャズ界のアイドルになったこと
このようなことが挙げられると考えます。
ルイ・アームストロングは私たちにジャズというおおきな遺産を残してくれました。
私もルイ・アームストロングを見習って、独りよがりな演奏ではなく、聴衆を気持ちよく、楽しくさせるようなジャズを演奏するよう心がけたいものですね。
まとめ
今回はジャズの始祖とも言えるルイ・アームストロングについてまとめてみました。
初期のジャズはストレートな音使いで聴いていてとても気持ち良いですよね。
日々練習をするなかで道に迷ってしまったら、ルイの歌とトランペットを聴いて、ジャズの楽しさを思い出していきたいものです。
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